鉄の展示館


本形式は昭和57年3月末に新形式の大馬力ロータリー除雪機関車として完成した。この新形式機関車は、本線用のDD51形DLの主要部品を活用して国鉄鷹取工場で改造したもので、当時の在来のロータリー除雪機関車と軸配置や形状が大きく相違しているため、新しくDD17形式と呼ぶ事になった。

●除雪用DLの形態と現況
除雪車の形態は、下表のようにラッセル車とロータリー車とに大別される。

形式\除雪性能 最大
機関出力
PSX数
最大
除雪幅
(m)
除雪速度
(km/h)
製造
初年
(昭和)
DD15 500X2 4.5 40~60 36
DD16300 800X1 4.5 30~50 54
DE15 1250X1
または
1350X1
4.5
後翼5.2
40~60 43
DD14 500X2 6.0
段切7.0
3~5 35
DD53 1100X2 6.0
段切7.0
15~20 39
DD17 1100X2 6.0
段切7.0
8~15 58

ラッセル車は、前面の除雪翼で斜め後上方に雪をはね飛ばすとともに、開閉出来る左右の側翼によって車両限界の3mより外方、4.5mまで限界外除雪をして、軌道両脇を確保し列車通行に支障のないようにする。この形のものには単線形と複線形とがあり、前者は単線区間用で線路の両側に排雪し、後者は複線区間で隣接線路に排雪するのを避けるため片側のみに排雪しながら進行する。いずれにしてもラッセル車は、積雪が進まないうちに40~60km/hの速度で往復して軌道を除雪するのが役割であるから両数も多く、除雪用機関車の2/3を占めている。ラッセル車が往復しているうちに、軌道の両側にはラッセルによって積み上げられ押し固められた堅い雪の壁が形成され、排雪を受け入れる余地がなくなってラッセルではお手上げとなる。こうなると、ラッセル車では歯が立たない。豪雪時と同じくロータリー車の出動となる。
 ロータリー車は、ラッセル除雪幅よりさらに除雪翼(かき寄せ翼)を広げて6mとし、ラッセルによって堅く高くなった側雪を線路上にかき集め、飲み込んで回転翼で一気に遠方へ投げ飛ばすものである。排雪列車のダイヤは前もって組んであり、降雪の状態によって出動指令が出されるのであるが、ラッセル車は速度が比較的高いのでさほど列車ダイヤを乱さない。いっぽう、排雪量の大きいロータリー車は、大形のDD53形でも15~20km/hのノロノロ運転となり、豪雪時には過負荷による機関破損にもつながる。DD14形の除雪能力不足は運用面にもおよんでおり、DD14形の重連使用あるいは後押し機関車との併用により、2台の500馬力機関をすべて除雪用に振り向けて1000馬力投雪とするのがほとんどであり、当然、機関車運用効率も低い。

●DD17形式の開発目的と特徴
DD17形式は、DD14形クラスの増備を機会に計画されたもので、55豪雪時にDD14形のオーバーロードによる機関破損といった性能不足を補うことと、除雪能力の向上とDD14形の背合重連なみの機能とを単機で得ることを狙った機関車である。本体機関車の両端にロータリー除雪前頭車を連結して両頭形ロータリーとし、転車台や後押し用補機も省略して除雪コストの節減を図っている。もう一つの特徴は、本体機関車に余剰のDD51形の機関・台車などの主要部品を転活用して製作コストの低減を図ったことである。DD51形の機関を再用することによって、除雪出力もDD14形の重連時を上回って最大時は1100馬力投雪となる。前頭車はDD14形のそれを基本としているが、投雪方向が右または左と限られていたものを、水平240°の範囲にまで投雪出来るようにした前方投雪装置付である。また雪のかき寄せ車や投雪羽根車も新形の高効率のものを採用しており、投雪馬力の増大と相まって除雪能力は大幅に向上するものと期待している。

●1991年(平成3年)にDD17形の最初で最後の会津若松~只見間の本線試運転に添乗しました。雪の降りしきるなかの深夜帯を時速5Km/hで走行しました。最初で最後とはその後、量産化になると思われましたが、DD19形式へ改造され形式消滅してしまったからです。